あずかります
あずかります
作：かくれ家
寒い冬の日、
私たちは分厚いコートを着込みます。
玄関でそのコートを脱いだはずなのに…。
なぜだかまだ、 身体が重たく感じること、ありませんか？
それはきっと、 「見えないコート」を まだ着ているからかもしれません。
「ちゃんとしなきゃ」というコート。 「私がやらなきゃ」というコート。 「平気なふり」というコート。
知らず知らずのうちに、
何枚もの見えないコートを重ね着して、 心と身体をギュッと守ってしまうのです。
でも、ずっと着ていると、
守っているはずのその重みで、 肩が凝り、息が浅くなってしまいます。
かくれ家は、
そんな「見えないコート」を そっとお預かりする場所です。
温かいベッドに横たわって、 優しい手に身を委ねると、 不思議ですね。
呼吸がすぅっと整っていく。
見えないコートを全部脱いで、からっぽになる時間。
大丈夫。 あなたは本来、
もっと軽やかで、柔らかい。
見えないコートはここに置いて、
どうか、身軽なあなたで お帰りくださいね。
外の空気がいつもより少し、 澄んで美味しく感じるはずです。
おしまい
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